法人を設立したら最初に確認する3つのこと

設立1年目法人の実務お悩み

副業から法人化した方やサラリーマンで法人設立した方に向けて、「法人を作ったらまずどこに何を提出すればいいの?」という悩みに今回お答えできればと思います。

税務署・都道府県・年金事務所へ届出を出す

そもそも法人を作ったらどこに何を提出すればよいのでしょうか。

以下が提出書類のまとめ一覧となります。

 

【税務署に提出する書類】

①法人設立届出書(会社設立後2ヶ月以内※添付:定款の写し

②青色申告の承認申請書(会社設立後3ヶ月を経過した日と最初の事業年度の末日のいずれか早い日の前日まで

③給与支払事務所等の開設届出書(事務所開設日から1ヶ月以内

④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

⑤定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請(最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで

⑥適格請求書発行事業者の登録申請書(事業年度終了日まで※必要に応じて提出する書類

  

【都税事務所(東京都の場合)に提出する書類】

①法人設立届出書(会社設立後15日以内※添付:定款の写し履歴事項全部証明書

②申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書(事業年度終了日まで

 

【年金事務所に提出する書類】

①健康保険・厚生年金保険 新規適用届(設立登記日から5日以内が原則、実務上は書類が揃い次第

※添付:法人(商業)登記簿謄本(コピー不可)、法人番号指定通知書等のコピー

②健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届(従業員や役員が加入する場合)(採用等の事実発生から5日以内が原則、実務上は書類が揃い次第

③健康保険 被扶養者(異動)届(家族を被扶養者にする場合)

絶対に忘れてはいけない書類

上記の中でも特に絶対に提出を忘れてはいけない書類は以下2つです。

◎青色申告の承認申請書

△適格請求書発行事業者の登録申請書

◎をつけた青色申告の承認申請書は提出マストです。

△をつけた適格請求書発行事業者の登録申請書については状況に応じて提出マストとなります。

以下にその理由を説明します。

提出を忘れるとどうなる?

まず、青色申告の承認申請書を期限内に提出し忘れると青色の特典が使えなくなります。

その特典とは

 

1. 欠損金の繰越控除

  • 事業年度で赤字(欠損金)が発生した場合、その赤字を翌事業年度以降最大10年間にわたり黒字と相殺できます。これにより、将来の法人税負担を軽減できます。

2. 欠損金の繰戻還付

  • 資本金1億円以下の中小企業等では、赤字が出た場合に前期の黒字と相殺し、前期に納めた法人税の還付を受けることができます。

3. 少額減価償却資産の特例

  • 取得価額が30万円未満の減価償却資産について、年間300万円を上限に一括で経費計上できます。これにより、資産購入時に即座に経費化でき、課税所得を圧縮できます。

4. 特別償却・税額控除の適用

  • 中小企業投資促進税制などの特別償却や税額控除が利用できます。たとえば、新品の機械装置を取得した場合、通常の減価償却に加えて特別償却や法人税額からの控除が認められます。

  

特に1期目は設立初年度なので赤字、2期目から黒字予定の場合、1期目の赤字を2期目の利益に充当して税金を減らすことができる上記1の欠損金の繰越控除が使えなくなるのはかなりの痛手となります。

また、10万円以上30万円未満の資産(例えばパソコンや事務所用家具など)を購入した場合に30万円未満であれば、購入時に一括経費計上できるのは大きいです。もしこれが青色申告でない場合は1度資産に計上して減価償却として数年間にわたって経費にする必要があるため、ここでも利益圧縮(税金減額)への影響が出ることになります。当然、前者(一括経費計上)の方が節税メリットは大きくなります。

 

続いて、適格請求書発行事業者の登録申請書を期限内に提出し忘れた場合ですが、消費税還付が受けられなくなる可能性があります。

 

どういうことかと言うと、仮に1期目に高額な設備投資(システム構築費や不動産購入予定ありの場合)や輸出売上が多ければ、消費税課税事業者であれば、売上(預かった消費税)よりも経費(支払った消費税)の方が多いため、」消費税が還付される可能性があります。

 

還付されるには課税事業者である必要(つまりインボイス事業者としてインボイス登録する必要)があるのです。

 

そのため、事業者の状況次第ではあるのですが、もし還付を受けれるはずなのに「1期目・2期目は免税事業者だからインボイス登録はしないでよい」という情報だけでインボイス登録をしていないのであれば、下手すると数十万円~数百万円の消費税還付を受けることができなくなってしまうわけです。

そのため、必ず適格請求書発行事業者の登録申請書を提出するかどうか(インボイス登録をするかどうか)は税理士に1度相談するのがよいでしょう。

まとめ

今回は法人を設立したら最初に提出すべき書類について書いてみました。

届出書や申請書には提出期限があるため、出し忘れは思わぬ損が発生してしまいます。

ネットの情報だけを鵜呑みにしないで、必ず税理士にチェックしてもらいましょう。

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